気付かれぬ再会。

6/9
前へ
/165ページ
次へ
 リキの話に耳を傾けるリュウ。シンラは、表向き他国との同盟を理由に両国を守護する為としつつ、従属国の国軍の力を分散させる狙いも兼ねて、他国の実力者を祖国以上の給金を条件で引き抜く事もあるのだ。  リュウは、此の話に何度か納得する様に頷く仕草を見せている。 「成る程。けれど、其れも父の時世下でね。実は、私から少々規制を厳しくしたんだよ」  リュウは即位後、先王とは又違った国の運営を行っていた。軍に力を入れる事は変わり無い。が、実力を第一としながらも、極力三親等迄控える自国民よりの志願者を優先させる改革を進め出したのだ。其処で来た志願者が外国人のリキであったので、少々悩むリュウ。 「門前で、そう諭されたのですが……申し訳御座いません。必死で……お願い致します、父に孝行したいのです。シンラに命を捧げるつもりで、サラサでの国民権の一切を放棄致しました」  トキの言葉に、リュウのみならず、シュウとユウキも目を見張る。外国よりシンラへの移住を求める者は多くいるのだが、多くの者は祖国の国民権の放棄迄はしない。戻る気が無くても大体の者が『保険』としてとっておくのだ。リキの決意に、リュウは暫し神妙に考える。そして。 「まぁ、良い切っ掛けになったよ。君の様な逸材を知る事、今回の様な件に関しての対策を考える事もね……よし!ユウキの頼みでもあるし、実力も充分なんだ、君を迎えよう!」 「あ、有り難う御座います!」  嬉しそうに、リュウヘ顔を上げるリキへシュウとユウキが思わず微笑んだ。しかし。 「うん。で、所属は……白虎隊へ」  まさかの言葉に、シュウが驚く様にリュウヘ視線を向けた。しかし、驚いたのは側のリキもであった。てっきり玄武配属かと思ったのだ。 「お待ち下さい、兄上。今回の不祥事はユウキのものです。何故うちへ……」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加