入隊試験。

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 次の日。まだ朝日も昇る前、薄暗い隊舎へやって来たのは、シュウ。隊舎の狭い通路にシュウの足跡だけが響く。リキの部屋の前にて、足跡が止んだ。続き響いたのは木製の安っぽい扉を叩く音。音の後、扉の前にて待つも、部屋の中からは物音一つしない事に眉間へ皺を寄せたシュウ。もう一度、扉を叩いて見る。暫し沈黙して待つも、やはり起き上がる様なベッドの軋む音一つ聞こえない。シュウは青筋が見えそうな表情で、口角をひきつらせた。其の直、部屋の扉を蹴り開けたのだ。結構な騒音に、流石に飛び起きたリキ。慌てふためき、辺りを見渡す其の視界に映ったのは、扉をぶち壊された部屋の向こう側に佇む、白く美しい隊服に身を包んだシュウの姿。 「シュ、シュウ様?!ちょっ……え、何ですか、こんな早く……?!」  掛けていた毛布を抱き締め、ベッドの隅にて怯えつつも抗議するリキ。しかし、シュウはゆっくり部屋の中へと足を進め、ベッドの側へ。リキはというと、己にかかるシュウの影が恐ろしくて更に毛布を強く握り締めている。 「貴様……新人の分際で上官の気配に気が付かんとはどう言った根性だ」  口角のみが上がった笑顔、と言えるのか。目は全く笑ってはいないシュウ。リキは喉をならし、扉があった筈の向う側へ目を向けた。まだ光も射し込んでいない廊下に、少々苛立ちも湧いてきた。 「むっ、無茶言わないで下さいよ……早すぎますし……ぶっ!」  リキの抗議の声は顔面へ投げ付けられた何かに遮られた。顔面を滑り落ちた『もの』に目を向けたトキは言葉を飲み込んだ。其処にあるのは、白虎隊の隊服であった。白虎隊の特徴でもある白く、美しい隊服は高潔な雰囲気が漂う。リキは其の隊服を感慨深げに見詰めていたが、我に返りシュウを見上げた。
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