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一つ目の理由は新任教員の時に大変甘かったので失敗をしたからだ。そして二つ目の理由はその学校で三年目にウルトラ右翼の団体に入って、それ以降「生徒から恐れられる教師になろう」と決心したからである。そして、それが成功したのだから不思議なものである。
先ず新任の頃、私は生徒から完全になめられていた。教師は体罰をできないということは生徒はみんな知っている。だから、教師は生徒に殴られても構わないという心構えでいなければならない。そして、それが生徒を増長させるのだ。中学で校内暴力を経験している彼らはこちらが手を出さないということを知ると頭に乗ってくる。自分の失敗談を語るのは気恥ずかしいが、生徒にチョークを投げたところ投げ返され、その生徒を叱ろうとしたらけんか腰で挑んできた。この時に私がこの生徒にグーで殴っていたら良かったと今でも思う。勿論、それは体罰である。しかし、そのような体罰は当時は横行していたし、私も教育困難校へ転勤して生徒に空手の正拳突きを喰らわせたことがある。そして、私が暴力を振るわないことを知ると、数名の生徒が頭に乗ってきて授業妨害を始めた。そしてそのことを先輩教師に話したところ、「大村さん、あいつらに校内暴力の記憶を思い出させたらいけないよ。」と言われた。
そこで、彼らが卒業してから先ず私のやったことは体罰である。
この学校では試験中は鞄を前後に出すことになっていた。そこで、私は鞄をつぶさに調べ、「体罰の獲物」を探した。あった。男子生徒の鞄に「洋子命」と書かれていたのだ。そこで私は試験が終わってからその鞄を教卓に乗せて言った。
「おい。この鞄の主、出てこい。」すると男子生徒の一人がのこのことやってきた。すかさず往復ビンタを喰らわし、言った。
「お前は極道か?この鞄は担任に渡しておくから後で取りに来い。」その時の生徒達の顔は今でも覚えている。みんな驚いて目を丸くしてこちらを見ていた。
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