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僕は、美香だけは、美香だけは守らないと・・・握っていた、美香の手に力を込める。強く握り返されるのがわかる。美香を引き寄せる。僕の身体で、美香を業火から守り抜く。
僕は、この時まで美香の手を握っていた。確かに、左手で美香の手を握っていた。
しかし、握っているハズの左手には、美香の重さを感じる事が出来なくなっていた。
そこで、僕の意識は闇に閉ざされた。
次に、僕が左手に美香の手を感じたのは、病院のベッドの上だった。美香の右手は、僕の左手に確かにあった。
しかし、右手の先にあるハズの美香が居ないのだ。
そして、僕は左半分のから来る激痛を感じて、改めて周りを見回した。
両親と幸昭の姿があった、そこにいるハズの、美香がいない。
声が出ない。左手には、確かに美香の右手が見える。僕が、美香にプレゼントした指輪もしている。
でも、美香が居ない。僕は、左半身の火傷を追ったが、命に別条ない。身体の一部のやけど以外は、問題ないようだ。
そして、僕は痛みを堪えて、聞いた。
「美香は、どこに居るの?右手だけここにあるのに?」
「美香ちゃんは見つかってないの?」
僕は、母親の言っている意味が解らなかった。
そもそも、これから映画を見ようと思って、地下街を歩いていた、僕たちがなんで病院のベッドに横になっているのか?理解できない。
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