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片岡瀬名の路上ライブは、直近でその週の土曜日だった。 学校で早速その変人の話を誠司にしたら大いに興味を持ったようでそれ俺も見に行きたい、と言った。 しかし誠司がバイトだったので、土曜日の路上ライブは忍1人で行くことにした。 場所は池袋西口公園、18時から。 忍はその日18時ちょうどくらいに西口公園に行った。 セナの周りには、思いの外たくさんの人が集まっている。男女入り乱れて年齢層も幅広い。 セナは座って弦のチューニングをしていた。それだけに集中しているようで、一言も言葉を発しない。 やがてチューニングが終わると、ストラップを肩にかけて立ち上がった。 白いTシャツにこの前見た古着のジーンズ。足元は黒のブーツ。 ボサボサの天パの頭は湿気の多い今日はさらに天パ力が増している。 セナは何も言わずに一呼吸すると、 Gを6弦から1弦にダウンストローク一回。その後、唐突に歌い出した。 忍は驚いた。 あの変人の、どこからこんなに綺麗で力強い言葉が出てくるのだろう。 曲は疾走感ある曲もあればスローバラードもあり、 それら全てを、セナは全身全霊で、明日死ぬくらいの気迫で歌っていた。 前に見た時のような人懐っこいようなバカのような表情は無く、 ギラギラと、まるで侍のようだ。 セナには見るものを引きつけるカリスマ性があった。 忍は吸い込まれるようにセナを見ていた。 身体中に鳥肌が立っているのを感じた。
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