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客がセナに話しかけたり、セナが用意していたCDを買ったりしていた。 1時間くらいはセナは忙しく話をしたり(セナは一度話したら言葉をどんどん言うので時間がかかる) 、頼まれたらサインをしたりしていた。 サインと言っても、飾り気なくサインペンで片岡瀬名、と書くだけ。 人がパラパラと帰ってしまうと、忍はセナに話しかけた。 「片岡さん。ライブ超よかったです」 セナは顔を上げて、忍を見るとものすごく嬉しそうな顔をした。 「あ、見に来てくれたんですね!よかった、今日は天気もいいし、俺のどの調子も良くて、聞いてくれるなら今日がいいなって思ってて、とにかく嬉しいです」 忍はなんだか、セナの純粋さに気持ちが和んだ。 「名前はなんていうんですか?俺のことはセナでいいですよ!」 セナは屈託のない笑顔で楽しそうに聞いてくる。 「小田切忍です。僕のことも忍でいいですよ。」 「忍さん!よろしくお願いします!」 セナはゴツゴツした大きな手を忍に差し出した。忍はその手を取って握手した。 こんな大きな手だったら、ギターも弾きやすいよな。いいな。と忍は思った。 「セナさん、なんだかライブやってた時のギラギラな感じと、今が全然違いますよね。すごい感動しました。CD欲しいんだけど、サインも書いてもらえますか」 「もちろん!ありがとう、1500円です!」 とセナは嬉しそうにガサガサとギターケースの中からCDを取り出して、サインペンで片岡瀬名、と大きく書いた。 見方によっては子供が持ち物に名前を書いてるみたいでもある
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