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高2の6月。 忍は池袋の楽器屋にギターの弦を買いに行った。 その時、ふと横を見ると、アコギのハードケースを背負ってピックを見ている男がいた。 ハタチくらいだろう。 ボサボサの天パの黒髪にヘッドフォンを首にかけ、黒いジャージを着て古着のジーンズを履いている。 男はしきりに、ピックの硬さを確認し、なにやらブツブツ独り言を言っていた。 やがて男は一つを手にするとそのピックを見つめたまま振り返って歩き出して、忍に正面からぶつかった。 「うぅわ!!」 男はまるで周りを見ていなかったようで、 皿をひっくり返してピックをぶちまけながら忍もろとも派手に転んだ。 忍は上から降ってきたピックだらけになった。 「いった、、ちょっと、なにしてんだ、、よ、、」 と文句を言おうとした忍は、男が自分に覆いかぶさる形になっていることにびっくりした。 なにこのシチュエーション?! 近い近い近い!! となんだか分からないけどドキドキしてしまった。 「いたた、、ご、ごめんなさい!!あー、こんなピックだらけになっちゃって、、」 男は忍の頭や肩に降り注いだピックを払いのけた。 「い、いいから、とりあえずそこどいてください」 「あ、ごめんなさい!」 男は忍の上から離れ、はいっ!と手を差し出し、忍はその手に捕まって起き上がった。
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