*紐解き作業・二

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「彼はそれを聞いてなんと?」 「あ? 特には何も──そりゃあ、口元が緩んではいたがよ」  家族を殺した奴が死ねば、ちょっとは喜ぶだろうし。  耳を傾けつつ箱の中身を探っていたラクベスの手が止まる。眉間に深いしわを刻み、手にしたものをゆっくりと持ち上げた。  ジップ付きの袋に入れられた血まみれの淡い水色のシャツは、吉佐が死んだときの状況をまざまざと見せつけていた。  しかし、ラクベスが眉を寄せたのはシャツに記された凄惨な跡ではなく、二人にしか見えない、どす黒い意識の残りカスだ。 「これに長いあいだ触れましたか」 「鑑識なら触ってたかもな」  なんでそんなことを聞くのかと夢木は顔をしかめる。
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