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プロローグ
血のような紅色に染まる空、地面からは紫色の煙とともに灼熱の地獄の炎が吹き上がり、遠くからは百人以上もの乾いた悲鳴が絶えず響き渡る。
「それにしても、今日は一段と良い天気ですね」
「どこがだよ」
草木が生えない枯れた荒野を一緒に歩く、隣の少女に目を向けた。
漆黒のマントを着込む少女は可愛らしいというよりは美人で利発そうな顔つきをしている。
美少女といえる女の子と散歩するのは嬉しいのだが、彼女が手にする武器が目線に入って気を取られてしまう。
小柄な体格とは不釣り合いな、身の丈以上はあるであろう歪んだ大鎌。
その姿はまるで死神。
知り会いに死神もいなければ、そんな存在を信じたこともなかった。
「どうしてこんなことになったんだ……」
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