第一章 『あの世の沙汰も死神しだい』

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 保険が誕生日プレゼントだって……?  信じられない。  これっぽっちも嬉しいことじゃない。  母さんはなぜここまで保険に加入させたがるのだろうか。  普通こんな頻繁に保険に入ることはないのだと思う。  ならきっと保険会社に騙されているのだ。  父さんは母さんの言いなりだし、ここはやはり俺がしっかりしなければ。  だが連日のように保険のセールスが来る我が極楽橋家は、良いカモとして保険会社中に名が知られているのかもしれない。 「今度セールスが来ても絶対に保険なんか入ってやるもんか!」  そう熱い決意をした直後、タイミング良く家のインターホンが鳴った。 「はいはーい」と受話器を取ると、「おはようございます」という若い女の人の声が耳に流れてきた。
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