第一章 『あの世の沙汰も死神しだい』

6/29
前へ
/173ページ
次へ
 少し警戒しながら、来訪客に声を掛け返すことにする。 「何の用ですか?」 「はい、この度こちらのエリアの担当となりました株式会社にこにこ死神保険の地獄谷と申します。ご挨拶のためお伺いいたしました」  今確かに保険という言葉を聞いた気がする。  またセールスだ。もうこれ以上の加入はこりごりなんですよ。 「保険はもう結構ですのでお引き取り下さい」 「いえ、今日はご挨拶にお伺いしたので難しい話は致しません。直接お会いしてお渡ししたいものがあるのですが、いかがでしょうか?」 「……ちょっと待ってください」  挨拶に来ただけなら仕方がない。  ゆっくりと玄関に出向き、ドアを開ける。  だが驚くことに、「おはようございます!」と元気よく入ってきた少女は俺と同じくらいの年齢だった。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加