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果物を盛った皿を持って戻ったら、慶一郎はソファで倒れるように寝ていた。
「呼び出しといて一人で寝てるし。」
テーブルを片付けて、寝室からタオルケットを持ってきてかけてやる。
「綺麗な寝顔…。」
こんなに間近で慶一郎の顔を見たのはいつぶりだろうか。子供の頃はよく一緒に寝ていた。
顔にかかる前髪を指で掬うとサラサラと落ちる。そのまま指先で頬を辿って唇に触れる。
柔らかくて暖かい。
そのまま寝顔を見ているうちにウトウトといつのまにか眠りに落ちていた。
かくれんぼの時2人で手を繋いで隠れた。
「大きくなったらぼくたち結婚するの」
「うん」
「ぜったいだよ?」
「うん」
今度はランドセルを背負った慶一郎と他の女の子が手を繋いで歩いて行く後ろ姿が見える。
「慶一郎…」
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