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きっと俺は地獄行きなんだろう。
地面に寝そべりながらボンヤリと思った。シンプルに何もない真っ白な部屋だったはずの床は、今は赤黒い色で染まり、壁にも飛び散って辺りは赤と白のまだら色になっている。
俺はそっと右手で、少女だったモノの髪の毛を優しく撫でる。まだ少しあたたかくて、撫で続けているうちに俺の目はあつくなり、じんわりと涙が浮かんできた。
ただ幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
争うことに嫌気がさして、疲れていたんだ。
彼女は気性が荒く、一度喧嘩になると、とてもじゃないけど手に負えない。お互いの関係が少しずつすれ違い、責められ続けるのは辛いことで、心が摩耗していくばかりで、だから、もう終わりにしたかったんだ。彼女が後ろを向いた隙に、俺は一升瓶を彼女の頭に振りおろした。
ーー眠れない1人の夜が怖くて、俺は彼女に会いに行った。終電も終わった真っ暗な街を線路沿いに、泣きながら歩いて彼女の家まで行った。突然深夜に訪れた俺を見て、彼女は一瞬驚きつつも次の瞬間には強く抱擁して子供をあやすように優しく撫でてくれた。
「もう大丈夫。大丈夫だよ」
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