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2章 最期
それから三年が経ち、僕は高校一年生となった。
あの数字は、今でもたまに現れる。
幸い、常に見えるものでもなかった。また、ダニや微生物といった肉眼で視認できないほど小さな生物には現れない。
それら全ての生き物の寿命が常に表示され続けていたら正気ではいられなかっただろう。
そして、それが見えているのは僕だけだった。
「看える」ようになったばかりの頃は、家族や友達に話して信じてもらおうとしていた。
だがそれはすぐに止めた。
家族には相手にされず、友達からはうそつき呼ばわりされ、周りから距離を置かれた。
「看える」ようになってから、精神的にも環境的にも良いことなど一つもなかった。
共に泣き笑いできる友達を持たないまま中学を卒業し、近場の高校へと進学し、今に至る。
高校に入学してからは、あの力については誰にも語っていない。何の得にもならないだろうし、そもそも信じてもらえないだろう。
高校に入学したての頃は、仲間の輪を広げようと各人が精力的に活動し、僕にも話しかけてくれる人は結構いた。
僕もそれに応えられるよう努力した。
しかし、中学での三年間友達と呼べる相手がいなかった僕にはコミュニケーションというものが全く分かっていなかった。
友達という関係が小学校の頃から変化し、今ではどんな意味合いを持つのか。どう空気を読んで、心にもない薄っぺらい言葉で笑いあっているのかを知らなかった。
当然、のけ者にされ、一人ぼっちになった。
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