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捨てた過去の先は
それは机の引き出しにある。もちろん鍵付きの引き出しだから家族は絶対に開けることはない。カギは学校に行くときもお風呂に入るときも眠り時も必ず持っている。手放していない。それに彼女は私が彼女の秘密を握ってるとは知らない。
それはクローゼットの中にある。もちろん鍵付きの小物入れに入れていて家族は絶対に開けることはできない。カギは学校に行くときもお風呂に入るときも眠るときも必ず持っている。手放してない。それに彼は私が彼の秘密を握っているとは知らない。
でも私たちはお互いにその秘密を知っている。だから私たちは同盟者だ。
そしてこれからは共犯者になるのだ。
「遅いなぁ」
私、山下サオリは使い慣れているけど所々ほつれているトートバッグを肩にかけて自宅の最寄り駅の改札の前で人を待っていた。
この駅は高校の通学に利用するので私にとっては日常の一部であり、映画のセットのような木造の駅舎や待合の椅子、年季の入ったストーブに古い改札はとても親しみがあるものになっている。
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