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「むしろ知らなかったら困る」
「ただ、その。それだと、は、恥ずかしいだろ。さっき俺が言った台詞が……」
「間違いなく恥ずかしかったから、心配しなくていい」
むしろその台詞自体が恥ずかしいのに、相変わらず檜垣くんのツボはズレている。
とはいえ、どんな理由であろうと恋人が恥ずかしがる姿というのは悪くない。笑いすぎて鍛えられそうだった腹筋も、落ち着いてきた。
「そんなに中に、出してほしかった?」
ゆっくりと、檜垣くんの腹を撫でる。くすぐったさより先に感じるのか、薄い胸がピクリと跳ねた。
「お腹壊しちゃうだろうから今日は出さないけど、いつかは一番奥で、出したいな」
「うん……」
檜垣くんがぼくの手のひらに、手を重ねる。
少し染まる目元も、濡れてしっとりした髪も、全部綺麗。
カッコよくて頭もいいのに、なんでぼくに対してはこう馬鹿なんだろう。度々呆れてしまうけど、ぼく限定かと思えば可愛くて愛しくてしかたないんだ。
「ッ、あ……酒井」
「名前」
指先で竿を辿って、先端で止める。焦らすようにそれ以上は動かさず、言葉をねだった。
「直哉……。俺、俺も……する。な、舐めてみたい。直哉の」
……その、勉強の成果は。少し、確かめさせてもらおうかな。
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