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ことが済んでから、檜垣くんが唇を尖らせながらぼくに一冊の本を突きつけた。
「俺だって、エロ本と少女漫画の区別くらいつくぞ!」
「いや、できれば、少女漫画を参考にするのも、あんまり……」
……ティーンズラブだ、この本。
確かにこれは、あまり漫画を読まない檜垣くんだと差がわからないだろうな、男女だし。女の子がたくさん出ていれば少女漫画だと思ってて、百合もその分類だと勘違いしていたくらいだ。
「何も参考にしなくていいから、檜垣くんの好きにして」
「でも、今まではそれで、振られていたから……」
「あー……」
だから、こうやってやたらと少女漫画を参考にしていたのか。
しかもそれがキッカケでオチてしまったからな、ぼくは。素直で思い込み激しめな檜垣くんが盲信してもおかしくない。
「ぼくは檜垣くんが何をしても好きでいるから、安心して?」
「俺も、酒井になら何されてもいい……」
「さっきは拒んだのに? 奥、入るの」
「そ、それは、ちょっと怖かったから」
ううん。可愛いな……。
「する時は、直哉も俺のこと、名前で呼んで?」
ぼくのほうは呼ばせたのに、照れくさくて呼んではあげなかった。
本当は呼んでほしくて、でも本には書いてなかったから、望まなかったのかもしれない。
「耀」
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