プロローグ

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 むしろいい。ときめく。これは是非とも成就させてあげたい。そしてそれを間近で見たい……。  ぼく自身が経験できないのはなんとも残念だけど、彼の傍にいたらぼくにも少女漫画のような恋愛が降ってきそうな、そんな気がする。  檜垣くんはチャラチャラはしてないし、そこまで遊んでいるようには見えない。スポーツよりも勉強ができる、秀才タイプの美形だ。ジャニーズ顔? とでもいうのか。  最近の少女漫画なんかでは当て馬に使われやすかったりもするけど、現実での文学少女相手なら勝算はあると思う。 「檜垣くんモテるから意外だなって」 「そんなの……。好きな子に好かれなきゃ、なんの意味もないよ」  モテることは否定しないのか……。 「先生に図書室の整理を頼まれたことがあってさ。あの娘、指を怪我したオレに絆創膏くれて。……それからも、手伝うようになって」  うん。知ってる。これで恋愛ルート入ったら最高だなと思ってた。 「小さくて優しくておとなしくて可愛かった」  ……確かに。檜垣くんの周りにいる女子は騒がしいもんな。  んー……とはいえ。 「女子はみんな、檜垣くんには優しいでしょ?」 「姉がいるから……押されるのはあまり、得意じゃないんだ。むしろ押したい」 「あー。それはわかる。ぼくも姉がいるから」     
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