呪われた朱美

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シングルマザーの朱美は、結婚する前から、自分のブログに職場や電車などで嫌な事があると、愚痴などを書いては気持ちを発散させていた。 夫や子供に恵まれてからも、ブログに夫への日常の些細な不満を書き続けて、アクセス数を増やしていた。 ある時、親友の浩子から面白いサイトがあるよ、と教えて貰ったのが「ダンナデスノート」だった。「ダンナデスノート」にいつ、どんな風に夫に死んで欲しいか、具体的に書き込めば、夫は書いたその通りに必ず死んでしまうという。 浩子から、書き込む時は、自分の名前は匿名で書く事、その上で夫にいつ、どの様に死んで欲しいかを正確に書かなければ効果が無いことを念押しされた。 面白そうだと思った朱美は、早速「ダンナデスノート」のサイトを開き、夫への不満と、いつどうやって死んで欲しいかを詳しく妄想をしながら書き込んだ。 (ダンナの奴、私に隠れて総務課の○○と不倫を重ねている。バイアグラなんかコッソリ買ってきている。探偵を雇って、ダンナと○○がホテルに入る所を押さえてやった。よりによってあんな女なんかと隠れてコソコソと…私の夫○○は、○月○日にホテルに出かけたところで車に轢かれて潰れて死にました。死ね死ね死ね。死んで地獄に落ちろ) 他の人たちが書き込んだ内容を見ると、内容こそはエグいな、と思えたが、みんな夫にこういう風に死んで欲しいと自由に書いてあったので、朱美さんも気軽に書き込めたのだった。「ダンナデスノート」は、世の中の女性たちが共有出来るツールだと朱美は心底楽しめた。
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