序章

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「マナベ店主。アルノルト・フォン・ライムバッハ。クリスティーネ王妃の命にて参内いたしました」 「ライムバッハ侯爵。どうぞお通り下さい。案内は必要でしょうか?」 「いや、大丈夫です」 「解りました」  ここ毎日の事だが、面倒この上ない。  セキュリティの面から考えてもしょうがない事だというのは、解っているが、もう少し簡略化出来ないのか?  まぁ”それも”今作っているのだからしょうがない。大戦が終わってまだ2年、戦争中は、この新しい魔法理論は戦争の道具でしかなかった。まだこれからの技術なのだ。  それまでの魔法から大きく変わってしまった事もそうだが、”プログラム”という新しい概念を持って、魔法が一部の人が使う物から、一般生活を豊かにする物に変わっていくのだ。  これから、優秀な技術者が産まれ、もっともっと新しい考え方を組み込んで、生活を豊かにしてくれるだろう。 「アル。来てくれたのですね」 「勿論です。クリスティーネ王妃様」 「前のように、クリスと呼んでください。ライムバッハ侯爵閣下」 「いやいや、王妃様をそんな呼べませんよ。陛下に殺されてしまいます。」 「あの人が?あなたを?無理無理、100年経っても出来ませんよ」  この会話も、ここ数年で何回も繰り返してきた定番のやり取りだ。     
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