序章

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 火を付けるという魔法を使おうと思ったら、まず、目的の大きさになる程度の魔力を集める。その集めた魔力に、”火”のイメージを付け加える。  その時に、詠唱を行う事で、イメージの補完を行っていた。詠唱の工夫で、イメージを増大させていた。  イメージの違いで火の大きさも違ってくる上に、魔力制御が出来ていなければ、火がすぐに消えてしまう。攻撃に使おうと思ったら、作った火を投げ飛ばすイメージを付与しなければならない。  3工程が必要な上に、その間”魔力制御”を続けなければならない。誰しもが使えるような代物ではなかった。  しかし、魔法はそれが本来の使い方ではなかった。その本来の使い方が新しい魔法理論の基礎となっている。  魔法は、魔力を制限したり、組み合わせたり、事象改変の結果を条件にして新しい事象改変を行う事もでき、他人が行使した結果を条件にして、オーバーライドする事もインクルードする事もできる。この一連の流れを、魔法師はイメージという言葉でまとめていた。  本当の姿は、これらをイメージとして毎回作るのではなく、魔法媒体に書き込む事で、行使できるようになるのだ。昔から、ダンジョンや古い神殿で時折見つかる魔道具がそれらを実現したいい見本となっている。     
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