序章

15/131
前へ
/668ページ
次へ
 口が軽い"優秀な営業"がいるために、営業を通さずに、客の担当者と話をするのは至難のわざだ。そこで、客の上層部と直接パイプを繋げる事にした。  真辺が率いる部隊は、火消しを担当しているので、いろんな部署だけではなく、外部の会社にも伝手ができやすい環境にある。同じ業界なら、間に一人挟めば大抵の開発会社には繋がりが出来る。客にも二人挟めばよほど小さな企業ないかぎりは繋がりを持つ事が出来る。  この時も、以前一緒に火消しをしたシステム会社の人間が、客の上層部を知っていた。  客の別部署に話を繋いで貰って、自分たちが仕事をする部署の上層部に繋げてもらった。  こんな水面下での交渉は本来やるべきではないが、今回の"火"は一部の客と口の軽い営業が燃料を投下している。それらを排除するしかない。  まずは、雑談レベルとして、客の現場サイドの人間と話をした。  やはりというか予想通りの展開だ。現場としては、現状出来ている物で、それほど機能的な問題は感じていない、それよりも新しい仕組みが入ったシステムを早くリリースして欲しいと感じているようだ。  そのことは議事録からも伺えることだ。それではなぜ"火"が燻ったのか?     
/668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1280人が本棚に入れています
本棚に追加