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それが、まぁなんということでしょう。
医者の、これは双子だなぁ!という一言を聞いた途端に、
一瞬部屋が明るくなった気がした。
本当にぱぁぁっと世界が明るくなったのだ。
我ながら不思議だ。
でもこの感覚は身に覚えがあった。
長女を妊娠していた時の事だ。
8ヶ月に入ってすぐ、性別が女の子だとわかった時も
こんな風に目の前が明るくなった。
イメージが出来たのだ。
あぁ女の子が産まれてくるのか、私の娘として。
腕に抱く重さまでイメージ出来た。
「双子…双子ですか…本当に?」と私が聞くと
担当医は「本当だよ。ほら胎嚢の中に二つ心臓があるでしょ。一卵性だよ」と
嬉しそうに言った。
あぁ、双子が産まれてくるのか、私の子供として。
腕に抱く二人分の重さが、甘く胸を満たした。
その日の帰り道、双子用のベビーカーを押す母親と
すこし後ろで荷物を持つ父親を見掛けた。
なぜ今まで幸せそうに見えなかったんだろう。
ただ疲れているだけで、あんなに幸せそうなのに。
長女を産んだ時の同室の若い母親を思い出して、
今なら心からおめでとうと言えるななどと思った。
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