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序話【破壊の魔女】
嵐の吹き荒れる街を人々が逃げ惑う。
大通りで相剋する二人の女性。
ネイビーのベースカラーに白いリボンのアクセントが施されたミニスカートドレスを着る、肩口まで黒髪を伸ばした17歳の少女。
つい先程、政府公認[魔法少女資格試験]を合格したばかりの彼女の名前は、
光璃金剛(ヒカリダイヤ)。
「コイツ、何……!?」
既に満身創痍で立っているのがやっとの彼女を嗤う、夜空のような模様の外套とウェーブ掛かった長い黒髪を風に靡かせた朧気な姿の女。
「新人! お前じゃ[破壊の魔女]の相手は無理だ! もう住民の避難も完了した、とっとと退け!」
建物の脇から叫ばれる。
だがその時。
「お前の世界も、壊してやろう」
魔女は両腕を広げた。
「ひぁっ!」
風が更に強く吹き荒れ、ビルをへし折り、家屋を分解し、アスファルトを引き剥がしてゆく。
「うあああああ!」「新人ーっ!」
悲鳴を上げ、吹き飛ばされ、消え去った金剛。
「新人……」
直後、魔女は姿を消した。
嵐が止み、嘘だったように青空が広がった。
……金剛の先輩魔法少女だけを東京都世田谷区紅葉町跡地のクレーターに残して。
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