第1章

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「浮気?うちは無い無い」 「まだ結婚1年の香澄はそう言うけどね。男は信用ならないよー」 「だって毎日真っ直ぐ帰って来るもん。浮気するにはちょっと時間無さそうだよ」 「毎日真っ直ぐ?」 「うん、私が心配なんだって」 香澄の言葉を聞くと、友人の真紀は口元に両手を添えて『ヒューヒュー』と大袈裟に囃し立てた。 「愛されてますなぁ」 「まあねー」 スマホが振動し、香澄は画面を確認する。 「あ、ごめんね。返信だけしていい?」 「旦那さん?仕事中にメッセージしてくるの?」 「昼の休憩時間にね。」 返信のため動かしていた香澄の指が止まる。 「あ、あの真紀ごめん。一緒に写メ撮って」 「え?」 「夫が誰とランチしてるのか見たいって」 「ん?私と行くって言ってなかったの?』 「ううん、言ってたけど、か、確認したいみたいで」 「へえ…香澄の浮気疑うとか?確かに心配性だね。まあそれだけ愛が深いってことか」 香澄は真紀と並んで自撮りを行い、その画像を夫に送る。香澄が返信を終えたタイミングで、真紀が話しかけた。 「香澄は共働きだから、旦那さんがそんな心配性ってちょっと意外だった。ほら、心配性の人に多いというか、妻に外へ働きに行って欲しく無い時代錯誤な人もいるでしょ」 「私の夫はそんな昔気質じゃないよ。一日中家にいたら時間の無駄だから有効に活用するようにって、知り合いの会社で事務パート見つけてくれたんだ。パート代でも無いより実際家計も助かるしね」 「 旦那さんの会社なら余裕なんじゃないの?勝手な想像だけどさ」 「あ、貯金をね。貯金は絶対にしなきゃってまず定期預金分引くから」 「ほー堅実なんだね。じゃもうすぐマイホーム購入とかですか」 真紀はニタァと笑いながら聞く。 「どうかな?そうだと良いんだけど貯蓄は夫が管理してて」 「…へーそうなの。あ、でもお給料は香澄に渡してくれるって言ってたよね」 「もちろんそうだよ。私に任されてる」
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