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「浮気?うちは無い無い」
「まだ結婚1年の香澄はそう言うけどね。男は信用ならないよー」
「だって毎日真っ直ぐ帰って来るもん。浮気するにはちょっと時間無さそうだよ」
「毎日真っ直ぐ?」
「うん、私が心配なんだって」
香澄の言葉を聞くと、友人の真紀は口元に両手を添えて『ヒューヒュー』と大袈裟に囃し立てた。
「愛されてますなぁ」
「まあねー」
スマホが振動し、香澄は画面を確認する。
「あ、ごめんね。返信だけしていい?」
「旦那さん?仕事中にメッセージしてくるの?」
「昼の休憩時間にね。」
返信のため動かしていた香澄の指が止まる。
「あ、あの真紀ごめん。一緒に写メ撮って」
「え?」
「夫が誰とランチしてるのか見たいって」
「ん?私と行くって言ってなかったの?』
「ううん、言ってたけど、か、確認したいみたいで」
「へえ…香澄の浮気疑うとか?確かに心配性だね。まあそれだけ愛が深いってことか」
香澄は真紀と並んで自撮りを行い、その画像を夫に送る。香澄が返信を終えたタイミングで、真紀が話しかけた。
「香澄は共働きだから、旦那さんがそんな心配性ってちょっと意外だった。ほら、心配性の人に多いというか、妻に外へ働きに行って欲しく無い時代錯誤な人もいるでしょ」
「私の夫はそんな昔気質じゃないよ。一日中家にいたら時間の無駄だから有効に活用するようにって、知り合いの会社で事務パート見つけてくれたんだ。パート代でも無いより実際家計も助かるしね」
「 旦那さんの会社なら余裕なんじゃないの?勝手な想像だけどさ」
「あ、貯金をね。貯金は絶対にしなきゃってまず定期預金分引くから」
「ほー堅実なんだね。じゃもうすぐマイホーム購入とかですか」
真紀はニタァと笑いながら聞く。
「どうかな?そうだと良いんだけど貯蓄は夫が管理してて」
「…へーそうなの。あ、でもお給料は香澄に渡してくれるって言ってたよね」
「もちろんそうだよ。私に任されてる」
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