第1章

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「子どもも欲しいし、やり繰り頑張らないと」 「そうだねー。子育てはお金もかかるしねー」 「うん、お金もだけど、私が主婦業に慣れてから子どもの事考えようって言われてるから」 「主婦業に慣れてから?」 「やり繰りもだし、料理や家事全般ね。そういう事に慣れないうちに子育てまで加わると大変だから、私が出来るようになってから考えようって」 「…家事全般っても、共働きだから香澄が全部一人でってのは大変そうだけど」 「そう、私の負担考えてフル勤務は辞めてパートにしたらって言ってくれたの。それでも結構忙しいけどね。さっきも言ったけど、夫は定時に帰ってくるから」 「主婦業に慣れてからって、どこで判断するの?」 「それは夫がね。もう少し頑張ろうって励ましてくれるよ」 「…ふーん、あ、あれか。要するにまだ二人でイチャイチャしたいって事かな?」 「そうかもー」 夕方、香澄はチラとスマホ画面で時間をチェックする。 「そろそろお開きにする?」 真紀の方から言ってくれた。 「うん、今日はありがとね。久しぶりでほんと楽しかった」 「香澄は中々時間取れないもんねー。今日は有休取れたんだよね」 「うん、パートでも半年過ぎると有休つけてくれるから」 「また会おうね。でも土・日は無理なんだよね?」 「うん、夫がいるし」 会計の時真紀が出した財布に香澄は 気づく。 「あれ、また財布替えた?」 「うん、奮発して買っちゃった」 「素敵ーやっぱそのブランドのもの、可愛いよね」 「香澄だって持ってるじゃん」 「私のは独身時代のものだもん。ま、あの愛着があるけどね」 「わあ、私も独身時代って過去形で言いたいよ」 「真紀は選り好みし過ぎなんだよ」 じゃあねーと手を振って別れる。
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