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「解っている。解っているけど・・・」
「なんだ、解っているのなら行動に移せばいいじゃぁいか」
「・・・・」
「あぁそうか怖いんだな」
「・・・・」
「彼女は、天秤に命を乗せたんだぞ。お前は、反対側に何を乗せるんだ。生半可な物じゃぁ釣り合わないぞ」
「・・・・」
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それから、数日後、彼は離婚届と結婚届の両方をもらいに行って、両方に自分の名前を書き込んで判を押した。まだ提出はしていないようだが....これからの道のりは長いが、一歩目を踏み出した事には違いない。
彼は結論から逃げなかった。逃げる事は出来たのかもしれない。でも最後の一線で踏みとどまった。
僕の出現がこの結果を産んだ。彼女は傷つき。彼は僕を軽蔑したのかもしれない。そうして、彼の妻は知らなくていい事実を知ってしまった。
その罪を感じながら・・・僕を恨む人間が増えただけかもしれない。それはそれでいいのかもしれない。僕のエゴだと言う事も解っている。僕が感じた苦痛と苦渋をあじあう寸前で、落としどころが決まったのかもしれない。
まだ結論が出たわけでもない。
そして、数年・数十年後に、僕が行った事への罰が下るのかもしれない。
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