第一章  ある日

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ヒョウ柄のきれいなお姉さんは、ルル達に一礼して、長い尾を揺らしながら、お店 の奥に行った。 「来て、かわいい。」 ルルは、笑いながらみんなを呼んだ。ソマリ猫はうつぶせてルル達の方をみると、 前あしで頬杖ポーズをとっていた。       「あはは、面白いな。」 「本当。」 ソマリ猫は、強い手ごたえを感じて、ドキドキしていた。ソマリ猫は、大きく深呼 吸すると、二足歩行になった。そして、前あしの肉球を合わせて、ごちそうさまポ ーズをすると、そのまま十秒間停止した。 「わあすごい! ルル、やっぱりこの猫ちゃんがいい!」 意図的に難易度の高いポーズを決めたソマリ猫は、とにかくやる事はやったと うなづいた。あとは、ルルだけが頼みだった。  「えっと、お父さんはちょっと、コーヒーでも飲んで来るよ。」 ルルのお父さんが、休憩スペースのベンチに座って一息入れていると、向こうの方 に、爬虫類コーナーが見えた。若い女の子が二人、トカゲを熱心に見ている。 (ふ~ん。今どき爬虫類は、女の子にも人気だって言うからなあ) ルルのお父さんは何気なしに、そちらの方に足を運んだ。  「何かお探しでしたか?」 (!?) ルルのお父さんの後ろから、年配の男の人の声がした。 「あ、いえ、、、。」     
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