7人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
そして、こちらを見て、いつも通りの微笑を浮かべた。
「さよならだ、カナメ君」
「待て」
慌ててその腕を掴もうと駆け寄り、手を伸ばしたが、メノウには届かなかった。
メノウが寂しげに笑う。
ポッ…と再び燐光が現れたかと思うと、それは蒼炎の壁になり、思わず腕で顔を覆う。
「メノウ!」
炎が収まり、顔を上げ、何度も彼女の名を呼んだ。
だがすでにメノウの姿は無く、
ただ廃墟の神殿に、自分の声が虚しく、反響するだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!