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オレはこの世界が嫌いだった。
魔導士の名家と言われるオトシキ家に生まれたものの、自分は魔導の才をほとんど受け継げず、一族からは“落ちこぼれ”だと言われ続けてきた。
それでも必死に剣の腕を磨き、僅かに使える氷魔法がかろうじて認められ、王都に仕える魔剣士になる事が出来た。
しかし“オトシキ”の名の呪縛は、常につきまとった。
オレがほとんど魔法を使えないと知るや、同僚たちの目が期待から憐れみへ、または蔑みへと、一気に冷めていくのが分かった。
「生まれが、そんなに大事か…?」
努力しても、変えられない壁に突き当たり、やがてオレは世界を憎んだ。
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