ボクは君が大好きだ！

3.優しい

テツは、困ってる人が目についたら助けちゃう。
テツの中ではそれが当たり前みたいで、いつも誰か助けてる。
助けて、見返りどころか誰にも何も言わないから、誤解されてることも多い。ボクはそれが凄く悔しいんだけど。

助けてたら遅刻することも多くて。
それで不良って言われてる。まぁ、格好とか髪とか、目付きとか、雰囲気とか、吹っかけられた喧嘩を買っちゃうとことか、他にも理由はあるけど。

「あ」

テツが携帯を見て声を上げた。
多分動画撮ったんだろうけど、駅員さんに見せるの忘れてたよね。
しばらく考えながら歩いて、まぁいいか、って思ったみたい。
携帯をポケットにしまった。抜けてるとこもあるから、知さんは余計に心配なんだろうなぁ。

今日は珍しく遅刻じゃ無さそうで良かった。
でも、ちゃんと行ったら行ったで、え、何で居るの？って空気になる。
ボクは堂々としてたら良いと思うんだけど、テツはその空気がうっとおしいみたいで、すぐ舌打ちして出て行っちゃう。
気まぐれでチャイムが鳴る直前に戻ったりするけど、嫌いな先生の時は屋上に行くんだ。
今日の1時間目は現代文だから屋上だね。