4.お友だち

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屋上へのドアを開けて出ると、綺麗な青空だった。 思わず走り出すボクを、テツは優しく笑って許してくれる。 え?鍵?鍵がなくてもここは開くんだって。 ドアノブをこっちに回して、ドアをこう傾けて押して、次はこっちに回して…って分かんないけど手順とコツがあるって言ってた。 …誰から聞いたんだろ? 「あー、エナ!サボリーノ?」 「…お前もだろ?」 「俺も」 そう言って、給水タンクの影から出てきたのは2人。 双子みたいにそっくりな男の子、小鷺季生くんと小鷺明生くん。 こさぎきい、こさぎあお、って読むんだって。 読めないよね? 先に声を掛けてきたキイくんは、いつも楽しそうな笑顔。 金髪の髪が綺麗だよ。アオくんよりちょっとだけ背が低いかな? …まぁ、テツがダントツで1番なんだけど。 アオくんは、いつも無表情で笑わない。あ、でも屋上で会う時の方が教室とかより穏やかかも。 黒髪で耳にピアスをたくさん付けてるから、歩くとジャラジャラ鳴る。よく生徒指導の先生に怒られてるけど、本人は気にしてないみたい。凄いよね。 「今日は、誰助けてきた?」 「あ、当てたい!」 「…え?あー、どうぞ?」 もう忘れてたのか、ちょっと思い出す顔でテツが答えた。 うーん、ってキイくんは考える。 給水タンクにもたれて座る2人の横に並んだテツは、やっと穏やかな顔になった。 ここでしか話さない2人だけど、何か落ち着くみたい。 ボクもテツの横に座る。 よしよし、ってテツ越しにアオくんが撫でてくれた。
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