4.お友だち

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「テツは良いじゃん」 「あ?何が?」 「良い相棒がいるじゃん」 「あー、まぁな」 犬だけど、と付け足して、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。 犬じゃダメ? ちょっと不安に思ってテツの顔を見る。 テツは、優しく笑ってた。目尻が下がるいつもの笑い方。 「…俺はいなかったから」 ぽつりとアオくんがこぼした。 「あ?」 「俺は、あいつしかいなかったからなー」 「……」 「……」 「…そっか」 深く聞かなかったけど、テツも分かったみたい。 いつも無表情のアオくんが寂しそうな顔で笑ってた。 自分が笑ってることも多分気付いてなくて、無表情のつもりなんだろうけど。 キイくんとは全然違って見えた。 双子みたいにそっくりなのに、全然似てなかった。 何があるのかな? ボクが聞くことは出来ないけど、きっとテツも聞かない。 友だちなんだけど、そこまで深くないって言うか。 話したければアオから話すだろう、ってテツは思ってる。言わないなら突っ込まれたくない話だ、って。 ボクにはどうしようもないけどね。 でも、聞いて欲しい時って無いのかな?とも思うよ。 ここで言葉を話せないボクには、慰めるぐらいしか出来ない。 そっと、アオくんに寄り添って座った。 誰も何も言わない。 ただ、青空を白い雲がのんびり流れて行った。
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