5.ケンカ

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焦ったボクは、テツの服を咥えて引っ張った。 頭をポン、ってされたからちょっと安心。 分かってるみたい。 目も怒って無かったから大丈夫かな。 テツはまた足早に去ろうとしたんだけど、相手が悪かった。 「遊んであげましょーか、子猫ちゃ~ん?」 「ほらほら、怖くないでちゅよ~?」 ってゲラゲラ笑うから。 「…お前らが悪いんだからな」 ってボソッと小さく聞こえて、あ、と思ったら遅かった。 テツは相手に近付き、思いっきり睨め付けた。 怒って一発殴ってきたのをサッと避ける。 そのまま素早く懐に入って、下から一撃、ガツン。 最後2人にはちょっとだけ殴られちゃったけど、5人を伸してしまった。 「…ヤバい」 「…クゥン」 やっちゃったね、って言ったつもり。 体力のないテツは、速攻なら強い。 空手黒帯?らしいし。延長戦は全然ダメだけど。 「でも、先に手ぇ出して来たのはそいつらだし」 「……」 手を出すように仕向けてた気がする。 しかも最後の2人、わざと殴られてたように見えたんだけど…? 疑いの目を向けると、テツは気まずそうにそっぽを向いた。 いそいそと伸びた5人を引きずって道の端に座らせていく。 テツは、背の低さを気にしてる。 キイくんに、威嚇してるロシアンブルーの子猫、って言われてから酷くなって、厚めの中敷2枚入れたり、中が厚底になってる靴しか履かない。
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