6.魔法

3/7
前へ
/79ページ
次へ
楽しそうではあるんだけど、ボクは心配になる。 風邪引かないかな、熱出ないかな? ピッてするのも体力を消耗するらしくて、やり過ぎるとふらついてくる。 放っておくと倒れるまでやっちゃいそうで、怖くなるからボクは走り出すんだ。 早く帰ろ、帰ろ!ってはしゃいでる風を装ってね。 仕方ないな、って言いながらもテツは笑って絶対付いてきてくれるから。 小さな子供みたいに走って走って、玄関になだれ込んだ所でへばったテツ。 呼吸が苦しくて倒れてるけど、楽しそうに笑ってる。 テツが楽しいとボクも楽しい。 嬉しくてテツの周りをグルグル走ると、ずぶ濡れのテツに捕まった。 嬉しくてつい、テツの顔を舐める。 「痛てっ!」 笑いながら顔をしかめた。 あ、テツ怪我してるんだった! 「ワン!ワン!」 お母さんを呼ぶ。 「哲、学、お帰り!」 明るく迎えてくれたお母さんは、テツの顔を見ると 「あー、ずぶ濡れ!しかも、またやったわね!せっかく色白美人さんなのに!とりあえず、風邪引く前にお風呂入っちゃって!ほらほら!」 って、「色白美人さん」にしかめ面したままへばってるテツを追い立てると、お風呂場に押し込んだ。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加