6.魔法

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その後、帰って来た知さんと散々言い合いして、夕飯ではお父さんに聞かれてた。 「哲、どうした?」 お父さんは箸を止めてそう言うと、自分の口角を指した。 日頃無口なお父さんは、必要最低限しか話さない。 だから、お父さんが声を出すと一瞬静かになる。 多分、みんな聴こうとするからかな? まぁ、その後、お母さんと知さんが話すからすぐ賑やかになるんだけど。 斜め同士の席で2人が話してるのを、クロスする形で話す哲とお父さん。 哲の声は大きく無いのに、いつもお父さんはちゃんと聞いてるんだ。凄いよね。 「…ケンカした、ごめん」 気まずくてボソボソ話す哲。 「そうか」 「……」 「哲」 「…はい」 「愛してるから」 「はぁ?!」 あ、イス倒れた。 哲が大声で急に立ち上がったから、知さんとお母さんも驚いてる。 「うるせぇ!」 「もぅ、行儀悪いわよ?」 「いや、だって!」 怒られてイスに座り直した哲は、驚きと焦りで真っ赤になってる。
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