6.魔法

7/7
前へ
/79ページ
次へ
「な、何で?!」 「…?」 「何で、あぃ…あんな事言うんだよ!?」 言えなかったけど伝わったみたい。 お父さんは対照的に落ち着いてる。 「今伝えようと思っただけだよ」 さらっと言うと、何でもなかったように夕飯を再開した。 「そうだぞ哲、愛してるぞ」 あ、聞いてたんだ。 知さんが笑って言う。ちょっとからかってるよね、ソレ。 「もちろん、私も。知も学も大好きよ?」 「…喜成さん、俺は?」 お父さんが寂しそう。 「高登さんが1番に決まってるじゃない!」 「……」 あ、ホッとしてる。お母さんはいつもの笑顔。 「ワンワン!!」 ボクも!ボクもみんな大好き!! 机の周りをグルグル走った。 最後はテツの膝に前足とあごを乗っける。 テツが撫で撫でしてくれた。 「なぁ、哲は?愛してるー?」 分かってて言う知さんは人が悪い。ニヤニヤしてる。 「う、あの、えっと…し、知らねぇ!」 真っ赤な哲は、焦ってご飯を掻き込んだ。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加