1.朝

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ボクは、えなが がく。漢字はこう。柄長 学。 黒のラブラドールレトリバー。 お父さんのくれた赤い首輪がお気に入り。 人間で言うと16歳ぐらいの男の子だよ。 ボクの日常は、柄長 哲と共にある。 あ、テツは、ボクのご主人で親友。 小ちゃいけど(身体的)高校1年生だよ。 「もう、あの子まだ起きてこないの?学、起こして来てくれない?」 エプロン姿のお母さん・喜成(きなり)さんが時計を見ながら言う。見てないのに、卵焼きをクルクル巻けるのが凄い。楽しくて、いつもボクは見入っちゃうんだ。 穏やかで無口なお父さん・高登(たかと)さんと、大学ではイケメンでジェントルって人気があるらしいお兄さん・知(とも)さんは食卓でもう食パンを齧ってる。 『うん!分かった!!』 あ、ボクは英語が喋れるんだ。 でも家族は英語が出来ないから、この首輪が日本語への翻訳機。無いと会話出来ないからとても大切。 「……」 無言で階段を見つめるお父さん。 「全く。どうせ昨日も遅くまで起きてたんだろ?明日に響くから程々にしろよって言っても聞きゃしないんだから」 知さんがそんなお父さんを見て言うのを背中で聞いて、ボクはテツを起こしに駆け上がった。
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