1.朝

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「ワンワン!ワンワン!!」 哲の前では普通の犬でいてくれないか?って言うお父さんの願いを守ってるから、言葉は話さない。 落ちこぼれなのを気にしてる哲の味方でいてくれ、って言うお父さんの願いだよ。 我が家は犬まで賢いのを知ったら、こっそり落ち込みそうだから、だって。 テツの起こし方は決まってる。 まず、ベッド横で吠える。まぁ、ほとんど起きない。 次に、ベッドに乗っかって揺すって顔を舐める。ちょっと唸るけどまだ起きない。 最後に、布団を引っぺがして、テツの服を咥えて引きずり落とす。 ゴン! あ、床で頭打っちゃった。 「痛ぇ~…」 やっと起きた!おはよ、おはよ! 起きたのが嬉しくて、胡座をかいたテツの周りを走り回った。 寝起きが悪いテツは、唸りながら寝癖で跳ね放題の銀色の髪をガシガシしてる。 「あー、もう!分かった、分かったから!!」 ぐるぐる回ってたら、捕まった。 「学、おはよ」 ギュッって首に抱き付いてくれるテツに「ワン!」って返事する。おはよ!
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