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矢野君と一緒にコスモスを見出してから、一か月が経っていた。
私たちは、いろんな話をした。
初めは、時代小説の話がほとんどだったけれど、最近はそれ以外の話をする方が多くなっていた。
今まで男の子に話したことがない、「私」の話。
今まで男の子から訊いたことのない、「彼」の話。
ひとつひとつが女の子とは違った。
新鮮だった。面白かった。ずっと彼の話を訊いていたくなった。
ふと彼の方を見ると、視線がぶつかった。私はふんわりと笑ってから、彼に話しかける。
「私、秋になると、ずっとここに一人でいたから。今年は、矢野君と一緒に見れてよかったよ」
「あ、あのさ」
突然、矢野君が話し出した。
こんな風に会話を切るように話す姿はあまり見たことがない。私はきょとんと首を傾げる。
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