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「俺、高野さんのことが……、ずっと前から好きでしたあ!!」
「……」
「俺と付き合ってください!!」
深く頭を下げる矢野君の体が肩が、小刻みに震えている。
けれど、体中が緊張でガチガチに固まっているのもわかる。
まさか、告白をされるなんて思ってもいなかった私は、その場から動けなくなった。思考が停止しそうになり、ダメだ、と自分自身に言い聞かせた。
固まる矢野君、けれど、緊張で震える矢野君を見ながら私は思う。
矢野君は、私の思う「男の子」への価値観を全て変えてくれた人。
はじめて……告白してくれた人。
そして、私が、はじめて、恋をした人。
「……はいっ」
ギュッと目を瞑り、言葉を続けた。
「私も、好きです」
「よっしゃあああああああ!!!!」
告白の後、間髪入れずに背後から一斉に声が聞こえた。
同じユニフォームを着た仲間たちが、矢野君の元へ駆け寄ってきていた。
矢野君は、「やったな」「おい、彼女持ち!」などつつかれ、もまれながらも、私だけに視線を送る。
そして、声にならない声で、
「これから、よろしく」
と言ってくれた。
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