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川口は寝室にビデオカメラを設置していて、由佳がトイレに入ると、美香を連れ込み、施錠の上、これを犯した。 送られてきた映像は、その一部始終が収められた凄惨極まりないもので、かつ川口の姿はボカシの加工が施され確認出来ない、卑劣極まりないものであったという。 「バラまかれたくなかったら、またヤラせろ」 川口に脅され、美香はその後も二度、マンションを訪れた。無論、一人で…。 生田は美香への映像提出の説得を、部下の女性警官に当たらせる。 当然、美香は提出を拒むが、その映像は川口を有罪にするために絶対に必要な証拠で、あなたの人権と名誉は絶対に守る、警察内でも必要最低限の人間にしか見せない事を約束し、説得に成功した。 事実、捜査の最高責任者たる生田ですら、現在に至ってもその映像は見ていないー。 美香が提出した映像を鑑識が解析。加工されている部分に映っているのが川口である事が判明する。 ここで生田は川口のマンションの家宅捜索に踏み切り、無加工のマスター映像を発見、これを押収させた。 起訴・送検し、裁判で有罪に持ち込む、絶対的証拠である。 これを突き付けられ川口は犯行を自供。動機は「10代の女とセックスしたかった」という、自己本位の身勝手なものであった。 「川口自供」は大々的に報じられ、所属するジョニーズ事務所は川口を解雇。芸能界を追放された。 逮捕の時点で、官公庁により起用されていた公的キャラクターは、すべて降板させられている。 こうして川口は起訴され、その身柄の管轄は警察から検察へ移された。 その移送の日ー。
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