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―童話館の老婆姫と、見えない老王子―
数年後。
館から離れた町に、こんな噂が流れた。
「童話館」と呼ばれる館には自分のことを「姫」と呼ぶ老婆がひとりで住んでいて、
その女は、夜な夜な「王子」を求めて、館の近辺を徘徊しているという。
その絵本を抱え続ける老婆姫の手には、最高の愛情表現を求める「アンデスイワドリの刺青・雌」の刺青が刻まれ、
その後ろをついて歩く「見えない老王子」の曲がった背中には、愛情表現を無視された「アンデスイワドリの刺青・雄」の刺青が、切なく刻まれているという…。
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