最後の晩餐

2/9
前へ
/9ページ
次へ
「長いこと愛してくださってありがとうございました。本日をもちまして閉店します」 まさに、青天の霹靂。 久しぶりに訪れた気に入りの店にて、衝撃の事実が発覚した。 風変わりな妖精がいると噂のカフェは、学校からほど近いところにある。 いつだったか、待ち合わせ場所を探していて偶然見つけた。 蔓植物に似た装飾を施した鉄製のアーチをくぐり、重たい扉を開けて階段を上る。 ブロカントふうに統一された店内は、通りに面した大きなガラス窓からたっぷりの陽光が差し込み、明るく開放的で、木の温もりとくすんだ風合いの使い込まれた家具、色使いが美しいファブリックに囲まれて、友人宅を訪れたような気軽さで迎えてくれた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加