最後の晩餐

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なにもかもお気に入りだったのに、突然の宣告。 閉店当日ということは、当然予約で満席のはず。オーナー直筆らしい貼り紙の、申し訳なさそうに身を縮めて丸まった小さな文字をぼんやり眺めていると、急に扉が開いた。 せっかくご来店いただいたのですから、としばらく待たされた後、案内してくれたのは最上階。ちょっとした楽器の演奏もできる、フロアから一段高くなった場所で、大きな窓に面した隅っこの席だった。急ごしらえで準備してくれたのだろう、テーブルは小 さく、身動きするたびに腕が窓ガラスにぶつかり、椅子は悲鳴を上げたけれど心遣いが嬉しかった。 流れ込んでくる隣席の会話を遮るように、たっぷりと し たカーテンを端に寄せて 夜の窓を覗き込んだ。
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