最後の晩餐

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教授には感謝している。締切日ぎりぎりまで面倒を見てくれた。 論文を書くのに慣れていない自分を丁寧に指導してくれたし、果ては製本にまで力を貸してくれた。思い残すことはもう何もない。パソコンを開いても一行も進まない辛さ。締切に間に合わない、受理されない、そんな悪夢が続き体調を崩した。書く気あるの?教授も教務課も、家族でさえ口には出さずともそう思っていたことだろう。 もう、終わりにしよう。 これからは、だれにも迷惑をかけず、思い煩うことなく日々過ごすのだ。今生きているこの瞬間を、大切にするのみだ。 最初にして、最後のディナータイム。 今日は特別。お酒を飲むことを自分に許した。だいぶお待たせしてしまうので、と空のグラスを下げた後、サービスしてくれたすみれのカクテルも楽しむことにした。
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