最後の晩餐

6/9
前へ
/9ページ
次へ
会えると金運がよくなるとか出世するとか、しあわせになれるとか。 何度訪れても、一度も妖精を見ることはなかった。 もしかしたら最後の夜くらいは、と淡い期待を込めて、彼のお気に入りの場所だというシャンデリアや、階段のあたりを穴の開くほど見つめたけれど、残念ながら影も形も見当たらない。 「お待たせしました」 じゃがいものグラ タンにローストポークのシードル煮込み、ほうれん草とベーコンのキッシュ、生ハムと黒いフィナンシェのタプナードソース添え。魚介のタルタル、アンチョビのバタートースト。デザートにはシェフご自慢のクレームブリュレ、そしてガトーショコラ。お皿に美しく描かれたソースまで、すべて美味しくいただいた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加