9話 靴磨きと体術道場(2)

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 ロランは、靴磨きの師匠であるブラームスが、猛者(もさ)になれる道場と言っていたゲオルグ体術道場を訪れた。  「すいません。街で一番の猛者になれる体術道場と聞いて来ました。」    「こんにちわ、私は師範代のコーウェルと言います。ボウヤは入門者かなぁ。」 と道場の師範代であるコーウェルが、作り笑顔と揉み手をしながら近づいてきた。  「いいえ。外の張り紙で募集している投げられ役の仕事をしたくて来ました。」  「……ボウズ。ふざけるのもいいかげにしろよ。ボウズに務まるわけないだろうが!」 先程と打って変わって態度が豹変(ひょうへん)したコーウェルが面倒臭そうに対応する。  それでもロランが食い下がっていると道場の奥から師範であるゲオルグ・ハンケが近づいてきた。  「……何事かな?」  「このボウズが投げられ役の仕事をしたいと言うもので優しく断っていたんです。」  「ボウヤ、私がこの道場の師範であるゲオルグ・ハンケだが、見ての通りこの道場には君のような年齢の子から成人し、冒険者を目指している者も訓練に来るのだよ。」
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