9話 靴磨きと体術道場(2)

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 様々な攻撃、防御からの投げに対する受け身を披露したため、受け身だけでなく、実践形式で最も使用される、攻撃・防御の型、拳による突き・蹴りに対する総合的な防御。  足の運び、視線の移動、重心の位置、フェイント、バックステップ、スェーバック等、ゲオルグが何十年にもわたり研鑽(けんさん)し蓄積してきた集大成である攻撃と防御に関する全てを『理力眼』で取得した。  「ありがとうございます。これで投げられ役の心構えができました。」  「そうかい。」  「あとは私が初等学校の年齢の門下生達に投げを教える際に、ロランに活躍してもらいますので、師範は冒険者志願の門下生達のご指導をしていただければと…。」 コーウェル師範代は、やけに低姿勢でゲオルグ師範に戻っていくように勧めていた。  既にロランは一流の武闘家であるゲオルグの受け身を取得していたので、門下生達に見事に綺麗に投げられた。  門下生達は、自分がかけた技でロランが簡単に投げることができたので、自分が強くなったと錯覚し上機嫌である。  こうして、ロランのゲオルグ道場での投げられ役の日々が始まった。   
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