10話 鍛冶屋 ワーグ

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10話 鍛冶屋 ワーグ

「ここはどこなんだ。世界が赤黒い、また異世界へ移動したのか。」明るさに慣れてきた瞳の中に映った光景は火の海であった。辺り一面が燃え空を赤く染め、数えきれない箇所で家屋が燃えることで生じた煙が柱のように立ち上がり、悲鳴や助けを求める声、恨みの声が一体となり空気を揺らしている。  ロランは小高い丘から、その光景をしばしの間、微動だにせず見つめていた。意識が固まりかけた時、聞き覚えのある声が聞こえてきたため、その声がする方向に視線を移動する。  するとロランよりもう少しだけ高い丘の位置に、漆黒の洗練された甲冑を着た身長が180cmぐらいある青年と、漆黒のドレスを纏い髪の長さが腰まである165cmぐらいの女性の後姿が見えた。  青年は、後で片膝を着き頭を下げている4人の指揮官に振り向くことなく、威厳のある口調で淡々と指示を出す。 「バルトス、マルコ、クロス、フェネク、軍を偃月(えんげつ)に再編成し敵が陣深くまで進行した時点で退路を断ち全方位から一斉攻撃し敵を殲滅せよ…血の一滴まで残すな…最後の戦いにする」
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